ベルカントの国イタリアは既にそれも過去の栄光となっている感があります。
勿論、素晴らしいイタリア人歌手は大勢いますが、
イタリア人歌手=良い声
イタリア人歌手=良い発声
という理屈は全く成り立ちません。
今回はその証拠を、ソプラノにスポットを当てて挙げていこうと思います。
◆Teatro di San Carlo(サン カルロ歌劇場)の現状
サンカルロ歌劇場はナポリにり、ヨーロッパの現役最古の劇場と言われています。
この最古の劇場で昨年~今年にかけて主役を歌っているイタリア人ソプラノを列挙してます
Carmen Giannattasio (カルメン ジャンエッターシオ)
Susanna Branchini (スザンナ ブランキーニ)
以上、ヴェルディ仮面舞踏会のアメーリア役
Valentina Mastrangelo(ヴァレンティーナ マストランジェロ)
プッチーニ ラ ボエーム ムゼッタ役
Maria Grazia Schiavo (マリア グラーツィア スキアーヴォ)
Daniela Cappiello(ダニエァ カッピエッロ)
響きが上半身だけに頼り過ぎていて、まだまだ深さがなく線が細いが、
1990年生まれでまだまだ若く、癖もないため、この人は伸びしろを感じる。
以上 オッフェンバック ホフマン物語 オランピア役
Federica Vitali(フェデリカ ヴィターリ)
同上作品のアントニア役
Emmanuelle de Negri(エッマヌエッェ デ ネグリ)
モーツァルト コジ ファン トゥッテ デスピーナ役
Anna Pirozzi (アンナ ピロッツィ)
ヴェルディ ナブッコ アビガイッレ役
Amarilli Nizza (アマリッリ ニッツァ)
プッチーニ 蝶々夫人 蝶々さん役
◆Teatro Regio(トリノ王立歌劇場)
Lavinia Bini(オアヴィニア ビーニ)
Lucrezia Drei (ルクレツィア ドレイ)
新国でもアディーナを歌ったのでご存じの方もいるかもしれないが
この人はかなり上手い。
素直な声で、言葉もしっかり聴こえるし変なヴィブラートもかからない。
イタリアではこのレベルが普通かと思っている人もいるかもしれないが、
この人はイタリア人ソプラノとしてはそうとう上手い方ではないかと思う。
以上 ドニゼッティ 愛の妙薬 アディーナ役
Gilda Fiume (ジルダ フィウーメ)
ヴェルディ リゴレット ジルダ役
こんなところにしておくが、
他の有名歌劇場
例えばローマ歌劇場も、ヴェネツィアのフェニーチェも内情は似たようなもので、
本当のプリマドンナ役は外国人の後塵を拝している状況。
ローマ歌劇場のトゥーランドットに至っては全て中国人キャストという念の入れようである(爆)
この状況を考えれば、
イタリアで活躍している日本人ソプラノの方がイタリア人ソプラノの大半よりはっきり言って上手い!
例えば
Nami Shigihara
これは浜松国際コンクールで優勝した時の映像
私もこの場にいたが、一人だけ次元が違った。
会場の後ろまで届くピアニッシモと天井の高い響きは他者を圧倒していた。
Erika Tanaka
ボローニャ市立歌劇場でドン・パスクワーレ ジャンニ スキッキ
ドン・ジョヴァンニ(ツェルリーナ)なんかを歌っているホープ
このCDでも歌っていますが、これは結構昔の演奏なので、まだイタリアで活躍する前。
サン カルロでも実は蝶々さんを日本人が歌う予定なのだが。
Yukiko Aragaki
なぜ?というレベル。
どこにでもいる日本人ソプラノといった感じで決して上手くない。
いかがだっただろうか。
一人一人に解説を付けるのも面倒になるほど、
聴いた瞬間に響きが低く、全くレガートで歌えてない歌手の多いこと。
外国人キャストとの競争がある土地はまだしも、自国の歌手を優遇しているようなところはどんどん劣化しているように思えてならない。
時々上手い人がいると思ったら国際的に活躍しているイタリア人歌手だったりして、
本当に、良い意味でも悪い意味でもグローバルになってしまったなと感じる。
ニーチェではないが
「イタリアのベルカントは死んだ」
とか言いたくなるような惨状が少しは伝わっただろうかッ!?
[…] イタリア人歌手の発声がかなり危機的な状況である証拠(ソプラノ編) […]